院長ブログ

院長ストーリー③ 本物の鍼灸との出会い

施術所の先生に一喝され、「鍼では風邪は治せないのか・・・」と気持ちが落ち込んでいた頃、日ごろの疲れも溜まっていたせいか私自身が風邪をひいてしまいました。

その頃、私は施術所での勉強だけではなく他の治療院でもアルバイトを兼ねて勉強をしていたのですが、風邪をひいたその日は治療院へ行く日でした。

熱っぽく重いからだを引きずって治療院に行ったものの午前中でつらくなってきたため、院長に「すいません。どうも熱があるようなので早退させてもらえませんか?」と相談していたところ、先輩の鍼灸師が「熱があるなら治療してあげるよ」と言ってきました。

その時、私は施術所の先生の一件で「鍼で風邪は治らないんだろう」「それより早く帰って休みたい」と思っていましたが、まだ、そこの治療院に入ったばかりで先輩がどういう治療をするのか知らず興味があったので「これも勉強の1つだ」と思い、先輩に治療をしてもうらうことにしました。

先輩は手首の脈を取ると「脈が速いね。確かにこれなら熱もありそうだね。」と言いながら、手足にチョンチョンと鍼を当てていき、「ちょっとお腹に鍼刺すよ。」と言いながら今度は鍼を直接お腹に刺しました。

先輩の治療は私が知っているものとは、まったく違い驚きました。特に鍼を直接刺すことは一般的な鍼灸院ではあまりしないからです。通常、鍼を鍼管(しんかん)という管に入れてから鍼の頭をトントンと叩いて刺すのですが先輩の鍼は管を使わず、しかも管を使った時よりも痛くもなく、ほとんど何も感じませんでした。

「へえ、こういう方法もあるのだなぁ」と、頭がボーっとしながら施術を受けていると治療は10分程度であっという間に終わりました。

「はい、終わり。休憩時間少し寝れば良くなるよ。」と言わました。施術後は確かに少しからだがスッキリしましたが、やはり「鍼では風邪なんて治らないだろう」と思ったままで休憩時間に仮眠をしダメなら帰らしてもらうつもりでいました。

ところが、1時間くらい仮眠をとった後に目を覚ますと「あれ?なんか今朝よりからだが軽くなっている」と感じ、その日は早退することなく夜まで仕事をして帰ることができたのです。

家に着いた私は「うーん。あんなちょっと鍼をしただけで、不思議なこともあるのだなぁ。でも、まだ熱っぽいし明日は熱が上がってアルバイト休みだろうな。」と思っていました。

私は風邪を引くと長引くことが多く、たいていの場合は熱が出て動くこともつらくなるからです。

しかし、翌朝起きて驚きました。熱があるどころか、ここ数か月間の疲れが吹っ飛んだようにとても心地よく目が覚めたのです。

「身体は軽いし、熱もないし、あの先輩、すごいな~。」と先輩の治療に興味を持った私は早速、先輩に昨日の話をしてみると、「僕が所属しているのは古典鍼灸研究会とう勉強会で素問・霊枢(そもん・れいすう:現存する世界最古の医学書と言われている東洋医学のバイブル)みたいな古典医学書を勉強したり研究したりしている所だよ。まぁ、簡単に言うと、いわゆる東洋医学的な考えをもとに治療をしているんだけどね。」と教えてくれました。

先輩の話を聞いて私はやっぱり「東洋医学には様々な可能性がある」「これが私のイメージしていた本物の鍼灸だ」と思いました。それから治療院にアルバイトに行くたびに先輩の話を聞き「先輩のやっている鍼灸施術を勉強したい」と伝えると「興味を持ってくれたみたいだけど、うちの会は5年に1回しか募集しないし審査もあるよ。」と言われました。

私はすぐにでもその会で勉強をしたいと思ったため、がっかりして「5年も待ってられないなぁ」と言うと「でも、確か来年は募集があると思うから興味があったら応募してみてね。受かるか分からないけど。」と先輩は笑って言いました。

院長ストーリー④『心がないと言われた鍼灸施術』